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第181回日本ウイルス学会
理事会議事録


日時:2005年3月19日(土)13:00~16:00

場所:国立感染症研究所共用第1会議室

出席者:

庵原 俊昭・岡部 信彦・奥野 哲郎・倉根 一郎・佐多 徹太郎・清水 一史・白木 公康・田口 文広・鶴留 雅人・西山 幸廣・堀田 博・森内 浩幸・上田 一郎・神奈木 真理・北村 唯一・高久 洋・武田 直和・谷口 孝喜・永井 美之・柳 雄介・吉川 哲史・吉田 哲也・岩本 愛吉(監事)・野本 明男(監事・第53回学術集会会長)永田 恭介(将来構想委員会)
以上25名

欠席者:

明石 博臣・今井 章介・堤 裕幸・森島 恒雄・中島 捷久・山西 弘一
以上6名

記録者:東山 郁子(富山衛研)・福田 博、上野 夏葉(事務局)




  1. 年次報告、会員数の現状(理事長)
    資料に基づき、年次報告、会員数の現状などについて理事長より報告された。
  2. 平成16年度収支決算報告について(基金の運営を含む)(西山理事)
    〔監査報告:岩本監事、野本監事〕
    西山理事より平成16年度収支決算報告について報告された。
    今年度は、会費請求回数が減ったため会費収入が減少しているが、2005年度請求で回収の見込みである。日本学会事務センターの破産の影響もあったが、支出を抑える努力により全体としてはほぼ予算通りの収支となった。
    続いて岩本・野本両監事より監査報告があり、適正に処理されている旨報告された。
  3. 平成18年度収支予算案について(西山理事)
    西山理事より平成18年度予算案について説明された。
  4. 第52回日本ウイルス学会学術集会報告について(佐多理事)
    佐多理事より第52回日本ウイルス学会学術集会報告が行われた。2004年11月21(日)~23日(火)パシフィコ横浜にて開催され、参加者は約1200名であった。学術集会ホームページ(URL: http://virus52.umin.jp/)は、次回53回学術集会が開催される直前まで閲覧できる予定である。
  5. 第53回日本ウイルス学会学術集会準備状況について(野本会長)
    第53 回日本ウイルス学会学術集会は、レジェンドレクチャーとして、2名の講演が決定している。また、特別講演として、教育講演的なものを企画しており、4名の講演者が決定した。ホームページの立上げもまもなくであるとの報告がなされた。
  6. 第54回日本ウイルス学会学術集会準備状況について(西山次期会長)
    第54回日本ウイルス学会学術集会は、2006年11月19日~21日、名古屋国際会議場にて開催されることが報告された。
  7. 第55回(2007年)日本ウイルス学会学術集会会長選出
    投票の結果、上田 一郎理事(北海道大学)に決定した。
  8. 理事選挙について(理事長、倉根理事)
    倉根理事より選挙日程と選挙管理委員会名簿が配布され、承認された。投票締切は7月11日(月)、開票は7月16日(土)感染研で行われる予定である。本年4月より個人情報保護法全面施行に伴い、会員名簿作成に制限が課されることとなるが、日本ウイルス学会では、名簿を選挙資料として利用せざるを得ないため、被選挙権者である現会員の氏名を専門分野別リストとして、名簿奥付へ掲載する旨をホームページにて告知することになった。
  9. 平成18年度科研費審査委員の候補者情報提供について(倉根理事)
    持ち回り理事会で投票を行い選出された10名の候補者を、2月28日付けで、日本学術振興会へ情報登録した旨報告された。
  10. 日本学術会議会員候補者の情報提供について(倉根理事)
    持ち回り理事会で投票を行い選出された10名の候補者情報を、12月24日付けで、学術会議会員選挙委員会へ届出た旨報告がなされた。
  11. 名誉会員の推挙、新評議員の承認など(理事長)
    新評議員として、小林 宣道(札幌医科大)、左近 直美(大阪府公衆衛生研)、寺田 喜平(川崎医科大)の3名が推薦され、承認された。名誉会員としてふさわしい候補者を夏ごろまでに推薦してほしい旨、理事長より要請がなされた。
  12. 杉浦奨励賞について(理事長、選考委員長)
    選考委員の半数改選が行われ、持ち回り投票の結果、2005~2006委員として神奈木真理、柳雄介、吉田哲也の3会員が選出された旨報告があった。17年度杉浦奨励賞の選考過程について野本委員長より説明がなされ、授賞者は高田礼人氏(東大医科研 ウイルス感染分野)『エボラウイルス表面糖蛋白質の機能解析』に決定した。
  13. 雑誌「ウイルス」の編集について(佐多理事)
    2005年6月号の編集案が佐多編集長より示され、「ポリオウイルス」に関するWHOの公式文書が掲載される予定などが報告された。また、J-STAGEの利用開始に向けて、その経過説明がなされ、契約手続きを進めることが確認された。なおJ-STAGE利用後も、雑誌掲載論文は学会HPサーバにもデータを保有していく予定である。
  14. 日本医学会定例評議員会報告(理事長)
    日本医学会に「日本臨床細胞学会」が新規加盟された。また、第27回日本医学会総会が2007年4月大阪で開催されるが、各学会から学術プログラムに関しての提案を提出することになっている。各理事から積極的提案のお願いがあった。
  15. 日本学会事務センター破産被害関係、「和解交渉委員会」への回答(報告)(理事長)
    財団理事からの和解金5650万円による和解申し出の提案に際し、交渉委員会のアンケートの結果、「破産直前に送金を受けた学会を除いて債権額に応じた分配をする」という日本ウイルス学会が選択した回答が最多数意見であった。
  16. Microbiology and Immunology編集委員会に日本生体防御学会が参加(報告)(理事長)
    雑誌内容の充実につながるとして、日本生体防御学会の参加を承認した旨が報告された。
  17. 将来構想委員会(永田恭介委員長)からの提言と審議(永田委員長、理事長)
    将来構想委員会より永田委員長出席のもと、「日本ウイルス学会の将来にむけての提言」(後掲資料参照)に基づき以下の報告がなされ、各理事により検討された。引き続き、委員会にはもう一歩踏みこんでもらい、さらに具体的な提案を作成してもらうことになった。
     提言1:本学会のホームページの充実と資料/データなどの集積
     提言2:学会外部(メディア・政府・海外など)との対応
     提言3:学術集会のあり方について
     提言4:人材開発と人材育成
     提言5:各種専門委員会の設置について
    なお、とりあえず「広報委員会(学術広報委員会)(仮称)」を組織することを決定し、その委員会構成、活動内容などについては理事長に一任されることとなった。
  18. ホームページの改訂について(武田理事)
    武田理事より、HP構成図(リニューアル案)、デザイン資料、作業費見積書(メディ・イシュ)が配布され、詳細説明がなされた。HPの充実をはかるためHP改訂を行うことが承認された。
  19. 「遺伝子組み換え」に関するアンケートの実施について(高久理事)
    高久理事より、標記アンケートを実施する際の資料が配布され、検討が行われた。アンケートを実施する場合、その対象は理事、評議員にとどめ、委員会が管理する基礎資料としてデータを回収し、情報は公開しないことが確認された。
  20. 微生物学研究連絡委員会(野本理事)
    微研連に替わり、新たに「日本微生物学協会連盟」が構想されているとの報告があった。
    また、IUMS Congresses in 2011が札幌で開催される予定である。

 

次回理事会は、2005年11月19日(土)パシフィコ横浜で開催される予定である。

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資料

日本ウイルス学会
理事長 永井 美之 殿

平成17年2月17日
日本ウイルス学会将来構想検討委員会 委員長 永田 恭介

日本ウイルス学会の将来にむけての提言

 日本ウイルス学会(以下、本学会)の理事長の諮問委員会である日本ウイルス学会将来構想検討委員会は、本邦のウイルス学およびウイルス研究の発展に本学会の果たす役割は重要であり、学問的にも社会的にも指導的でなければならないとの認識に基づき、本学会の果たすべき役割を確認し、その重責を果たすために、現状分析と極近未来の本学会のあり方と進むべき方向の検討を行なった。ここに、委員会でとりまとめた具体的な実行案を提言する。

提言1:本学会のホームページの充実と資料/データなどの集積
 本邦におけるウイルス学とウイルス研究の発展のため、加えてそれらに従事する学会員の利便のため、および非学会員の公益のために、ホームページ(以下、HP)の充実を計る必要がある。具体的には、本学会の果たしている社会的な責務と本学会自体の活動の広報、ならびに本学会員が所有する知的/物的財産の集積(データベース化)・公表を通じての啓蒙活動を目的として、HPの充実を計る。

  1. 本学会員への便宜を図る目的で、各種の集会案内、就職情報、ポジション情報などを収集し、適宜HPへアップロードする。
  2. 標準ウイルス実験法/プロトコールなどを作成し、学会誌への掲載あるいはHPへのアップロードを行ない、ウイルス研究者が専門と異なるウイルスを使う際の抵抗感の軽減を図る。また、ウイルス学/研究関連用語の解説を目的とした辞典に類するデータベースをHP上に構築し、研究活動の円滑化を図る。さらに、学会の広報が主体となって、ウイルス関連サイトへのリンクを構築し、ウイルス学およびウイルス研究関連の情報ネットワークの集大成をめざし、より利用価値の高いものとする。
  3. 本学会員が保有する情報(ウイルスの形態写真、病理組織像、ウイルス株のデータベース、遺伝子クローン、抗体などについて)を集積し、一部はHPを通じて公表、分与の仲介の場を提供する。
  4. 本学会が主体となり、本邦におけるウイルスの取り扱いに関するバイオセーフティー指針(ガイドライン)を作成し、HP上に公開する。
  5. ニュース性の高いウイルス/ウイルス疾患(たとえば、最近であればSARSやトリインフルエンザウイルスなど)についての教育的な記事の作成・公開や、加えて本学会の対応などを話題性の高い時期を失せずにHP等を通じて公開する。
     

提言2:学会外部(メディア、政府、海外など)との対応

  1. メディアへの対応は、従来同様、学術集会の中での討論を中心にすすめるのが望ましい。しかし、テーマによってはパネルディスカッションの導入も集会運営の一方法として検討すべきである。
  2. ウイルス関連の「リスクマネージメント」の重要性をメディアおよび政府へ訴え、国の施策(たとえば、「食の安全」、「安全で安心な社会」など)を学会が支援し、また協調する姿勢を築く。(訴える手段、協調する方法論については継続審議中)
  3. ウイルス関連研究のよりいっそうの推進のために研究費のウイルス領域への配分増加、大型プロジェクトのウイルス領域への誘導などについて本学会が主導的な働きかけをすることが望まれる。(方法と受け皿の問題については継続審議中である。学術審議会や審査会などのメンバーに就任されている本学会所属の学会員にその役をお願いする。一方で、審議会をリードするような人材の発掘、育成、支援を行なうなどの意見がある。)
  4. ウイルス学関連領域に関しての社会的ニーズや研究動向などの調査を行なう。また、海外のウイルス学研究やウイルス疾患制圧に関わる機関との協力体制の充実を図る。
     

提言3:学術集会のあり方について
 学術集会の実施プランの改善と学術集会以外の場でのウイルス学/研究関連の研究会の恒常的な開催が必要である。

  1. 学術集会、あるいはそれ以外の場において、学生会員のみならず正会員を対象に、基本的な講義に類するセクションを開設する。たとえば、組織学概論や病理学概論のような教育的講義、あるいは異なるウイルスを扱うためのテクニカルチップの講義を実施する。これらの方策は、領域外から参入する若手(たとえば、最近の医科学修士大学院大学の増加に伴う大学院学生の構造変化)の教育に資することもできる。
  2. 学術集会において、各セッションのオーバービューの時間を設定する。たとえば、その分野の基盤、問題点、および1年間の進展などについてオーバービューし、分野外の人にもセッションが理解しやすいようにする。
  3. 学術集会に連携して開催される市民公開講座の意味を再考する必要がある。市民公開講座は、必ずしも、期日や場所を学術集会と重ねて考える必要はない。むしろ、アクセスが良く、聴衆の集まりやすい場所と日時を設定することのほうが重要である。
  4. 学術集会において、展示ブースの増設、冠ワークショップの開設などを行なう。このことにより、集会運営の経済的な問題を解決するとともに、最新の便利な手技手法を学べる可能性の場を提供し、バイオ関連企業との連携を深めることを目的とする。
     

提言4:人材開発と人材育成
 明日のウイルス学/研究を築くのは、人材であるとの認識に基づき、若年層からの人材のリクルートと予備軍の育成を行なう必要がある。また、本学会として社会への積極的な働きかけ(知識のフィードバック)を行なう。

  1. 若手研究者の研究に対するモチベーションを本学会としての引き上げることが必要である。たとえば、若手研究者の学術集会、あるいはそれ以外の場での口頭発表の機会を増やし、またあるいは、学術集会とは別に若手研究者の参加を中心において開催される特別なワークショップの開催などを学会として支援する。
  2. 将来のウイルス学研究をめざす人材育成のため、高校、中学、あるいは小学校に出前授業を行なうことを学会として支援する。
  3. 大学生や修士大学院生を対象とした「分かりやすい、面白い、ウイルス学レクチャーシリーズ」を学術集会以外の場で開催することを学会として支援し、学会HPにも記事を掲載する。
  4. 社会人や医療支援者、あるいはバイオ関連企業を対象に、「ウイルス講座」を学術集会以外の場で開催することを学会として支援し、学会HPにも公開する。
  5. 国際学会への参加を支援する奨励システム(これまでの杉浦基金と同様な制度)や「学会奨学生」や「学会フェロー」のような、学会支援型の大学院生・博士研究員制度の創成を目指す。
     

提言5:各種専門委員会の設置について
 以上の提言1-4を実行するにあたり、本学会内に下記の常設の専門委員会(一部は、現行の委員会およびワーキンググループを改組する)を設置することを提言する。

  1. 広報専門委員会・・提言1の実施と広報システムの運営・管理
  2. 研究調査専門委員会・・提言1のデータ収集と管理、および提言2のウイルス学関連領域における社会的ニーズや研究動向の調査など
  3. 海外協力支援専門委員会・・提言2の中の海外協力の実施にむけた体制作りと海外協力の本学会の窓口として機能
  4. 学術集会専門委員会・・提言3の実施
  5. 研究・教育支援専門委員会・・提言4の実施
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