Mycobacteria、 Nocardia、 Actinomyces
が入る。組織内に分枝状に増殖しカビに似た集落を作るので、カビの仲間に入れられた事もあったが、細菌の仲間である。細胞壁はペプチドグリカンであり、核はなく、サイズも細菌の大きさである。外膜がないからグラム陽性菌の仲間と考えてもよい。
22−1:マイコバクテリア Mycobacteria
Mycobacteria は細胞壁に mycolic
酸などのワックスを持つ。抗酸染色により菌を染めるが、この時加熱するのはワックスを溶かす為である。染色後、3%
HCl
処理で脱色されない事(抗酸性)を見るが、ワックスが脱色を妨げる事を利用したテストである。ワックスに囲まれているので、乾燥に強い。逆に、増殖は遅く結核菌の培養には
3-4 週かかる。好気性である。
結核菌 Mycobacterium tuberculosis は結核を起こす。
培養はリピドの多い、Lowenstein - Jensen egg
培地や小川培地を使用する。コロニー表面が粗く粉をふいた感じがあり、染色の時など菌を液中にバラバラに混濁させるのが困難なのが特徴である。
結核は日本で毎年 56,000 人の新患が出ており、毎年4,000
人が結核で死んでいる。7 %
の死亡率と云う計算になる。新患の頻度は米国の 4-5 倍高い。世界では毎年一千万新たに感染していると云う(1997年現在)。
初期感染は、敗血症にあたる粟粒結核を除き殆ど症状がない。菌は、まず肺胞でマクロファージに食われ、その中で増殖する。リンパを経て肺門に行き
granuloma が出来る。感染 30 日位でツベルクリン陽性になる。91%
は治癒するが、6%
は空気のよく来る肺尖で増殖し肺結核を発病する。3%位が全身感染を起こす(図22-1)。
治療はisoniazid,ethinamide(いづれも細胞壁表面のmycolic acidの合成を抑える)、rifampin,
ethambutol,pyrazidamideなどを併用する。各薬への耐性はすぐ出るので併用が必要である。
isoniazid耐性はKatG遺伝子に欠損が入るためである。KatGのCatalase-peroxidase活性によりisoniazidは菌にToxicな物質にかえられる。この活性がなくなるとisoniazidは有効でなくなる訳である。即ち、菌はisoniazidという放っておけば自分に無害な物質を有毒にする遺伝子産物をもっている訳で、遺伝子活性がなくなると耐性が出るというのは面白い。二剤治療としてはリファンピシン-isoniazidが有効である。ただし薬剤耐性菌の出現が大きな問題になっている。