学会誌「ウイルス」

第52巻 1号 2002年 PP.47-53


[特集1〔Overviewセミナー〕]

8.インフルエンザ
―最近の臨床の進歩―

菅 谷 憲 夫

要旨:  日本では,学童集団接種は無意味であったという意見が流布し,集団接種を中止したことは当然のように考えられてきた.しかし,学童集団接種が実施されていた1970年代,1980年代のインフルエンザによる死亡者数(超過死亡)を調査してみると,1990年代に比べて大幅に低く,学童集団接種による集団免疫により,高齢者の死亡が大幅に抑えられていたことが明らかとなった.最近の数年間で,日本のインフルエンザの診断と治療は急速に進歩して,世界のトップとなった.インフルエンザは,臨床的にインフルエンザ様疾患として,抗生剤,解熱剤等を投与する時代は終わり,迅速診断を実施しその結果に基づいてノイラミニダーゼ阻害剤で治療するという先進的なインフルエンザ診療が,世界に先駆けて日本において確立しつつある.インフルエンザ脳症と報告されている症例の一部は,インフルエンザウイルスとHHV―6またはHHV―7の重感染が関連している可能性が報告された.


日本鋼管病院小児科,現 けいゆう病院小児科
(〒220-8521 横浜市西区みなとみらい3-7-3)
A revolutionary change in the diagnosis and treatment of influenza
Norio Sugaya, MD
Department of Pediatrics, Keiyu Hospital
3-7-3Minatomirai, Nishi-ku, Yokohama, Kanagawa 220-8521

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