学会誌「ウイルス」

第51巻 2号 2001年 PP.209-214


[特集2 ウイルスと宿主レセプター]

5.ウイルス感染とToll-like receptor
−Toll-like receptor 3によるウイルスdsRNA認識−

松本 美佐子,瀬谷 司

要旨: タイプI インターフェロン(IFN−α/β)はウイルス感染防御に重要なサイトカインである.繊維芽細胞をウイルスdsRNAの合成アナログであるpoly(I):poly(C)で刺激するとIFN−α/β遺伝子の転写が誘導される.そのメカニズムはこれまで不明であったが,近年微生物レセプターとして注目を集めているToll−like receptor(TLR)familyのなかのTLR3がウイルスdsRNAのシグナルレセプターであることが最近明らかとなった.我々の研究によれば,TLR3はウイルスdsRNAを認識し,IFN−α/βと樹状細胞の活性化を誘導してウイルス感染を防御する.従来,ウイルスレセプターは取り込みレセプターの総称であった.本総説の新概念は,(1)ウイルス感染は宿主細胞上の取り込みレセプターとシグナルレセプターが規定し,(2)innate immunityが感染防御に関与するという点である.


大阪府立成人病センター研究所,免疫学部門
(〒537−8511大阪市東成区中道1丁目3−2)
Recognition of dsRNA by Toll-like receptor 3
Misako Matsumoto, and Tsukasa Seya
Department of Immunology, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases
1−3−2Nakamichi, Higashinari−ku, Osaka, 537−8511

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