[特集2 ウイルスと宿主レセプター]
要旨: 膜結合型ヒトポリオウイルスレセプター(hPVR/CD155)は,ポリオウイルス(PV)感染に重要な役割を果たす.hPVRの細胞外ドメインは,PVの結合に必要であるが,細胞質内ドメインの機能は不明であった.PVのヒトにおけるターゲットとなる極性細胞に注目した結果,hPVR細胞質内ドメインには,膜結合型hPVRアイソタイプ特異的な細胞内局在シグナル配列が存在することが明らかになった.また,hPVR細胞質内ドメインには,細胞質ダイニンと相互作用する配列が存在し,PVの神経軸索内逆行性輸送系にhPVRが関与している可能性を示した.神経細胞特異的に抗PV抗体および抗hPVR抗体によって細胞変性効果が抑制される機構も明らかになりつつある.一方,hPVRトランスジェニックマウスにおける実験から,hPVR非依存的なPVの血液脳関門通過機構や,神経軸索内輸送機構の存在が明らかになった.
東京大学大学院医学系研究科微生物学講座
(〒113−0033東京都文京区本郷7−3−1)
Structure and Function of Poliovirus Receptor
Seii Ohka, Akio Nomoto
Department of Microbiology, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo
7−3−1, Hongo, Bunkyo−ku, 113−0033, Tokyo, Japan
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