[特集1 プリオン]
要旨: 出芽酵母(S. cerevisiae)には酵母プリオンと呼ばれるタンパク質が存在する.酵母プリオンは哺乳類のPrPのように,異常型のタンパク質が正常型のタンパク質を異常型に変換してしまうという性質を持っている.現在のところこのようなタンパク質にUre2pとSup35pという二種類が知られている.特にSup35pはN末端にオリゴペプチドリピート構造をもっていてこの点もPrPと共通している.本稿ではSup35pのプリオン的特性([PSI+])について,一次構造の特徴,分子シャペロンの影響,(酵母種間での)伝搬性の障壁など最近の研究成果を紹介する.
東京大学医科学研究所(〒108−8639 東京都港区白金台4−6−1東京大学医科学研究所基礎医科学部門遺伝子動態分野)
Molecular Biology of Yeast Prions
Toru Nakayashiki and Yoshikazu Nakamura
Department of Basic Medical Sciences, Institute of Medical Science, University of Tokyo,4−6−1Shirokanedai, Minato-ku, Tokyo 108−8639, Japan
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