学会誌「ウイルス」

第51巻 2号 2001年 PP.145-150


[特集1 プリオン]

1.動物のプリオン病

堀内 基広

要旨: 動物のプリオン病は全て感染因子プリオンが体外から侵入することによりおこる感染性プリオン病である.そのうち,羊のスクレイピーおよび鹿の慢性消耗病は自然状態でそれぞれの宿主間で感染が成立する.この2種以外の動物プリオン病の発生には人為的要素が関与している.中枢神経系における異常型プリオン蛋白質PrPScの蓄積,神経細胞の空胞変性など,特徴的な所見は共通であるが,プリオンの体内分布など相違点も明らかになってきた.プリオンの侵入門戸および中枢神経系組織への侵入経路なども解明されつつある.本稿では,動物プリオン病の発生原因,プリオンの感染経路および伝播様式,株の多様性等について,主に羊スクレイピー,BSEを研究対象として得られた知見を紹介する.また,日本のBSE検査についても紹介する.


帯広畜産大学原虫病研究センター,獣医公衆衛生学教室
(〒080−8555 北海道帯広市稲田町)
Prion diseases in animals
Motohiro Horiuchi
Research Center for Protozoan Diseases and Department of Veterinary Public Health, Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine
Inada−cho, Obihiro, Hokkaido 080−8555, Japan.

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